「ホームページを自社で更新したいけど、何から始めればいいのか分からない…」という悩みを抱えている企業は少なくありません。
このような課題を解決するため、現在多くの企業が導入しているのが「CMS(コンテンツマネジメントシステム)」です。CMSを使えば、Webの専門知識がなくても、人的リソースが不足していても、社内で簡単にページを作ったり更新したりすることが可能になります。
当記事では、CMSの基本的な概要・特徴から、導入メリット、導入のステップ、導入事例、よくある質問まで、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。
「自社に合ったCMSは何か」が見えてくる情報を提供していますので、CMS導入を検討している方はぜひ参考にして下さい。
目次
CMSとは?基本概念をわかりやすく解説
CMSという言葉は聞いたことがあっても、実際には何を指しているのかピンと来ない方も多いでしょう。ここでは、CMSの定義・基本機能・必要性・特性について解説します。
CMSの定義
CMS(Contents Management System)とは、Webサイトのコンテンツを効率的に管理・更新するためのシステムのことです。Web制作やプログラミングの知識がなくても、テキスト・画像などのコンテンツを簡単に制作できます。
CMSではコンテンツをデータベースとして一元管理しており、指定した位置に必要な情報を呼び出してコンテンツを表示します。この仕組みにより、Webページ・文書・画像・動画などの多様なコンテンツを一箇所で管理し、アクセス権の設定や表示場所の決定も柔軟に行うことが可能です。
CMSはWebサイトの更新ツールとしてだけでなく、企業のデジタルコンテンツ全体を管理するプラットフォームとしても機能するのが大きな特徴です。
CMSの必要性
かつては、Webサイトの運営や管理は、専門知識を持ったスタッフや外部業者への依頼が必須でしたが、現在ではCMSの登場により、非技術者でも効率的に運用できるようになっています。
以下の表は、従来の更新方法とCMS導入後の違いを明確に示しています。
項目 | CMS導入前 | CMS導入後 |
---|---|---|
専門知識 | HTML/CSSなど技術スキルが必要 | 専門知識不要で直感的操作 |
作業効率 | 手作業で時間と労力がかかる | 自動化機能で効率化 |
デザインの統一性 | ページごとのばらつき | テンプレート機能で統一感 |
SEO対応 | 手動設定で手間 | 自動生成機能でSEO効果向上 |
マルチデバイス対応 | 別途設計・開発が必要 | レスポンシブデザイン標準搭載 |
コスト | 制作会社などへの依頼費用が発生 | 社内運用でコスト削減 |
上表のとおり、特に頻繁な更新が必要な企業や、多人数運営を行う組織において、CMSは不可欠なツールとなっています。ビジネスのスピード感や変化に対応するためにも、CMSの導入は現代のWeb戦略において重要な選択肢となっています。
CMSの基本機能
CMSには、Webサイトの運用・管理を効率化するための多様な機能が搭載されています。
CMSの代表的な機能
1.コンテンツ作成・編集機能
- エディタ機能
HTMLやCSSの知識がなくても、直感的に見たまま編集できます。 - テンプレート管理機能
デザインテンプレートを利用して一貫したレイアウトを維持できます。 - 更新履歴管理
過去の更新履歴を保存・復元でき、誤操作時のリスクを軽減します。
2.公開機能
- 公開日時設定機能
記事やページの公開日時を指定してスケジュール管理を行うことができます。 - 承認フロー
上司の承認を得た後に自動公開する機能で、業務プロセスを効率化できます。
3.管理機能
- ユーザー管理機能
複数ユーザーでの運用時に役割や権限を設定し、業務分担を明確化する機能です。 - データベース連携
コンテンツの変更が即座に反映され、最新情報を迅速に提供できます。
4.権限設定機能
- 権限管理
ユーザーごとに異なる権限を設定し、効率性・管理性・セキュリティを高める機能です。
5.マーケティング機能
- アクセス解析
Webサイトの訪問者数や行動分析を行い、マーケティング戦略を強化する機能です。 - SNS連携
SNSとの連携機能により、情報発信を効率化します。
CMSでできること・できないこと
CMSはウェブサイト構築・運用を効率化するツールですが、すべての課題を解決できるわけではありません。
以下の表は、一般的なCMSの「できること」と「できないこと」をまとめたものです。
機能 | CMSでできること | CMSでできないこと |
---|---|---|
コンテンツ作成・編集 | 直感的な操作でコンテンツ作成・編集可能 | 高度なカスタマイズ・独自のデザインは実現できない場合がある |
公開・管理 | 公開日時設定、承認フロー機能、権限管理 | 独自の業務システム構築は難しい場合がある |
SEO対策 | SEOに最適化された内部構造 | 高度なSEO最適化には専門知識が必要 |
マルチデバイス対応 |
レスポンシブデザイン スマートフォン対応 |
特定のデバイス向けの独自開発は困難 |
マーケティング機能 | アクセス解析やメール配信機能 | 高度なマーケティングオートメーションは外部ツールが必要 |
カスタマイズ |
基本的なデザイン変更 プラグイン追加 |
高度なシステム開発や独自機能の実装は不可能 |
セキュリティ | 基本的なセキュリティ対策 | 完全なセキュリティ保証は困難 |
CMSのカスタマイズ時には必ずバックアップを取り、変更内容を慎重にテストする必要があります。
導入前に機能の限界を明確化し、適切な運用計画を立てることが重要です。
CMSを導入するメリット
CMSは単なる「更新ツール」ではなく、ビジネス全体の情報発信スピード・コスト・セキュリティまで変える可能性を持つシステムです。
ここでは、CMSを導入することで得られる実務上のメリットについて解説します。
1.Webサイトの自社運用が可能
CMSを導入する最大のメリットは、Webサイトの自社運用が可能になる点です。
ページの追加・修正・更新といった運用に伴う作業を、専門知識がなくとも手軽に行うことが可能となるためです。
また、CMSは権限設定機能により、編集・確認・公開といった作業を担当者ごとにスムーズにできるため、チームでの運用もスムーズに行うことが可能です。運用効率も高まり、ビジネスを格段に効率化できます。
外部業者を頼る頻度も減るため、業務効率化だけでなく運用コストの削減も実現することが可能です。Webサイト運用の内製化を考えている場合には、CMSの導入は非常に有力な選択肢となります。
2.スピーディな情報発信
CMS導入により運用を内製化することで、情報発信のスピードを大幅に向上することができます。自社で更新を行えるため、イベント情報・キャンペーン告知など、重要なタイミングを逃さずタイムリーにコンテンツを提供することができます。
特に、トレンドの移り変わりが激しい業界や、先行優位性が重要な業界においては、大きなアドバンテージとなるでしょう。
また、マーケティングオートメーションや顧客管理システムと連携すれば、個々の顧客に最適化された情報を提供することが可能となり、訴求力を高めることができます。作業効率の向上により、社内の他部署との連携もスムーズに行うことが可能となり、ビジネス全体の動きを加速することにも繋がります。
3.運用業務の効率化
CMSを導入すれば、運用業務を大幅に効率化できるのも大きなメリットです。具体的には、以下のような点が運用業務の効率化に大きく貢献します。
- 運用プロセスの短縮・シンプル化・効率化
Webサイトのヘッダーやメニューといった共通部分を自動反映できる機能や、ユーザーごとに編集権限を設定できる機能により、運用プロセスの短縮・シンプル化・効率化を図ることができます。 - チームでのコラボレーションや共同作業の効率化
システム上でコンテンツを保管・共有できるため、必要な情報へのアクセスや再利用が容易になり、チームでのコラボレーションや共同作業を効率化することも可能です。 - SEOに最適化された内部構造の搭載
URL設定やメタタグ管理など、SEOに最適化された内部構造を標準装備している場合が多く、検索エンジンでの評価向上も効率化できる。
このように、Webサイト運用に伴う煩雑な作業の数々をアシストしてくれるのが、CMSの大きな魅力です。
4.管理性の向上
Webサイトの運用には、コンテンツの追加だけでなくさまざまな管理業務が発生しますが、CMSを導入することで、より合理的で効率的な管理が可能となります。
例えば、以下のようなベネフィットを得ることができます。
- デザインとコンテンツを別々に更新できる
CMSではデザインとコンテンツが分離されているため、相互に影響を与えることなく必要な部分のみ更新を行うことができます。 - 管理の質を向上できる
CMSには定期的なバックアップ機能や権限設定機能が備わっており、安全で堅実な運用管理を簡単に実現できます。 - 複数のサイトやドメインを一元管理できる
複数のドメインやサイトを一つの管理画面で操作できるため、複数のサイトや大規模なサイトを運営している場合も効率的に運用・管理できます。
管理業務はWebサイト運営のリソースを圧迫するため、管理性が向上することもCMSを導入する大きなメリットです。
CMSを導入に伴うデメリット
CMSの導入にはデメリットも伴うため、事前に把握しておくことが重要です。
以下に主要なデメリットを解説していますので、参考にして下さい。
1.セキュリティリスクの増加
CMSはインターネットを経由して管理画面にアクセスする仕様であるため、サイバー攻撃や不正アクセス等のセキュリティリスクが高まるのがデメリットです。
特にWordPressなどのオープンソース型CMSは広く使用されているため、攻撃者の標的になりやすい傾向にあります。
CMSのセキュリティ対策が適切に行われていない場合は、具体的にはWebサイトの改ざん・ウイルス感染・ランサムウェア等による被害が発生する可能性があります。
実際に被害を受けると、サービスの停止・顧客情報漏洩・信用失墜・法的責任の発生などさまざまなリスクを負う場合もあるため注意が必要です。
安全にCMSを使用するには、定期的なアップデート・セキュリティスキャン・多要素認証等によるアカウントの保護など、万全のセキュリティ対策が必須となります。
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2.デザイン・カスタマイズの制約
CMSではテンプレートや既存機能を活用してサイトを構築するのが一般的であるため、完全にオリジナルなデザインや特殊な機能の実装は困難です。例外的なデザインやカスタマイズを実現したい場合は、CMS本体・テーマ・プラグインの仕様が制約となることがあります。
知識・技術があれば独自性を追求することも不可能ではありませんが、あまり手の込んだカスタマイズを行うと、CMS本来の運用管理の効率性・利便性が薄れてしまうのが難点です。無理にカスタマイズを行うと、CMS本体・テーマ・プラグインのアップデート時に不具合が生じるリスクも高まります。
CMSは提供されている機能の範囲内で活用するのが一般的であるため、独自性の高いデザイン・カスタマイズを追求したい場合は、事前に自由度の高いヘッドレスCMSやスクラッチ開発等の手段も検討してみることが重要です。
3.導入コスト・運用コスト・管理コストの発生
CMSを導入する際には、初期費用・運用費用・管理費用といった各種コストが発生する点も忘れてはなりません。
まず導入時には、CMS選定・要件定義・初期設定・デザイン調整・既存データ移行などに、まとまった費用が必要となります。社内スタッフへ操作や運用ルールを習得させるための教育費用も必要です。
導入後も、ライセンス料・サーバー代・メンテナンス費用・セキュリティ対策費用などで、継続的に費用が発生します。運用の過程で標準機能で対応できない業務が生じた場合は、追加開発やカスタマイズの費用が必要となる場合もあります。
保守運用を自社で行う場合には、人的リソースや専門知識も必要となり、長期的なコスト負担に繋がります。
このようにCMSの導入にはさまざまな費用が必要となり、予想外に高額となる場合もあるため、導入前には将来的な拡張を見越してトータルコストを見積もっておくことが重要です。
CMSの種類と特徴を比較
一口にCMSといっても、その種類はさまざまです。ここでは、CMSを選ぶ際の参考になるように、主要なCMSの種類・特徴を紹介していきます。
1.オープンソースCMS
オープンソースCMSとは、無料で利用・改変・配布が可能なCMSです。
代表的な製品を以下に解説します。
1.WordPress
WordPressは、初心者にも扱いやすく、豊富なテーマ・プラグインが提供されているのが魅力のCMSです。小規模ブログ・中規模企業サイト・ECサイトなど、幅広く対応できます。
手軽さと柔軟性を兼ね備えたCMSを求めている方にはおすすめです。
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2.Drupal
Drupalは、複雑なサイト構成や大規模サイトの構築にも対応可能な高機能CMSです。柔軟で堅牢なサイト設計が可能で、政府機関・大学・大手メディアにも多数採用されています。特にセキュリティ面には強みがあり、専門チームによる定期的な更新で安全性が保たれています。
3.Joomla!
Joomla!は、多言語サイトや会員制サイトに強い中級者向けのCMSです。多言語対応機能・会員管理機能が標準で備わっており、国際的な企業や会員制のポータルサイトを構築したい企業に適しています。テンプレートや機能も充実しており、自由度の高い構築を行うことも可能です。
2.商用CMS
商用CMSとは、ベンダーが開発して有料で提供しているCMSです。企業サイトの運用を効率化する機能が充実しており、サポートが手厚いのが特徴です。
代表的な製品を以下に解説します。
1.ShareWith
ShareWithは、コーポレートサイトに特化した高機能CMSです。IR情報・財務データの自動更新、リンク・サムネイルの一括管理など、企業サイト運営に必要な機能を標準で搭載しています。
「見たまま編集」機能により、専門知識やページ作成や更新を容易に行え、金融機関にも選ばれる堅牢なセキュリティと監視体制を備えています。
2.HubSpot CMS
HubSpot CMSは、成長企業向けのマーケティング特化型CMSです。CRMやマーケティングオートメーションとの連携が可能で、マーケティング活動を強化することができます。
集客・顧客管理・コンテンツ配信までワンストップで対応可能であるため、売上に繋がるサイト運用を行いたい場合にはおすすめです。
3.Movable Type(クラウド版・ソフトウェア版)
Movable Typeは、国内導入実績も豊富な、静的CMSとしてセキュリティ性の高さが評価されているCMSです。改ざん・不正アクセスのリスクが低く、安全性を重視する企業に適しています。
クラウド版とソフトウェア版が提供されており、前者は運用利便性、後者はカスタマイズ性に優れているのが特徴です。
3.ヘッドレスCMS
ヘッドレスCMSは、コンテンツ管理(バックエンド)と表示(フロントエンド)を分離することで、多様なデバイスやサービスにコンテンツを配信できる新しい仕組みのCMSです。
主な製品を以下に解説します。
1.Contentful【海外製】
Contentfulは、高い柔軟性と拡張性を兼ね備えた海外製ヘッドレスCMSです。APIベースで構築されており、Webサイト・モバイルアプリ・IoT端末など、さまざまなデバイスへの配信が可能です。
また、パーソナライズ配信やA/Bテストといったマーケティング機能も搭載しており、グローバル展開や複雑な要件のプロジェクトにも活用することができます。
2.microCMS【国産】
microCMSは、国内で4,000社以上の導入実績を持つ日本発のヘッドレスCMSです。予約公開・編集履歴・リアルタイムプレビューなど、実運用を意識した設計が施されているのが特徴です。
ノーコード設計で非エンジニアでも簡単に運用可能で、日本語によるUIとサポート体制も充実しているため、CMSに不慣れな企業も安心して導入できます。
3.BERYL【国産】
BERYLは、Webメディア運営の現場ニーズを反映して開発された国産ヘッドレスCMSです。編集者やライターが実際に使う場面を想定して設計されており、利便性と運用効率を両立しているのが特徴です。
また、ヘッドレス構造により自由なデザイン実装が可能で、複数の配信先にも柔軟に対応。記事作成・更新のしやすさはもちろん、開発側との連携もスムーズに行えます。
実務に即したCMSを求めるWebメディア運営者にとって、強力なパートナーになります。
ヘッドレスCMSとは?仕組みやメリットデメリットをわかりやすく解説
ヘッドレスCMSの仕組みや従来型CMSとの違いを具体的な例を用いてわかりやすく解説し、導入後のメリットやデメリットもご紹介します。
4.フルスクラッチCMS
フルスクラッチCMSは、既存のCMSやテンプレートを使用せず、ゼロから独自に設計・開発されたCMSです。企業独自の業務フローや要件を完全に反映したオリジナルのシステムを構築できる点が最大の強みです。
主なメリットは、自由度が非常に高く、ブランドイメージや業務要件に対応したWebサイトを作成できる点や、不要な機能が無いためパフォーマンスやセキュリティにも優れている点です。
一方で、開発期間・コストが大きく、要件定義から運用までを自社と開発会社で対応しなければならないため、高度な技術力と専門性が必要である点がデメリットとなります。
業界特有のフローや複雑なシステム連携が必要な場合や、独自性の高いデザイン・機能を求める場合には、有力な選択肢となります。
CMSで構築されたWebサイト事例
導入を検討しているのであれば、実際にCMSでどのようなWebサイトを構築できるのかイメージしておくことは重要です。
ここでは、弊社のBERYLを導入して、実効性のあった事例をご紹介します。
スーツスクエア(青山商事株式会社)【オウンドメディア】
青山商事株式会社が運営するオウンドメディア「ザ・スタイルディクショナリー」では、CMSの移行により運用効率と記事品質の向上を実現しています。
従来使用していたオープンソースのパッケージでは、ページの読み込み速度や編集作業の不便さなどが課題となり、ヘッドレスCMS「BERYL」への移行を実施しました。
画像のWebPへの自動変換・モバイルビュー搭載エディタによる表示確認効率化・記事編集画面の操作性向上といった機能により、作業時間を大幅に短縮しています。また、タイトル付き下書き機能や差分アラート機能により、作業の精度向上も実現しました。
BERYLは表示速度・操作性・管理性の三拍子が揃っており、読みやすさや正確さを兼ね備えたオウンドメディア運営に大きく貢献しています。
★上記事例についてさらに詳しく知りたいなら
スーツスクエア(青山商事株式会社)|導入事例|ヘッドレスCMS「BERYL」
【失敗事例】機能過多で使いこなせなかったケース
高機能なCMSは一見魅力的に見えますが、社内の体制やスキルとミスマッチが生じれば、導入が逆効果になるケースもあります。
実際にとある企業では、機能の多さや複雑な操作性が仇となり、担当者が日常的な更新作業を行うことすらできず、最終的に外部業者への依存度が高まってしまいました。結果として、導入時の目的である業務効率化やコスト削減は達成できず、導入コストと導入効果は見合わない結果となりました。
CMSの導入は、「高機能であるほど良い」ということはなく、自社の運用スキル・更新頻度・将来的な拡張性とのバランスを見極めることが重要です。実運用をイメージした事前検証を行うことで、導入後の失敗は確実に減らすことができます。
CMS導入の流れとポイント
ここでは、疑問点や不明点を払拭して着実なステップを踏み出せるように、CMS導入の一連の流れと押さえておくべきポイントについて解説します。参考にして下さい。
比較・検討・選定
CMS導入にあたっては、事前に以下のステップを踏まえて比較・検討・選定を行うことで、失敗を防ぎ自社に適した製品を選ぶことができます。
1.目的と要件の明確化
何を実現したいのかをはっきりさせ、必要な機能と運用体制を整理します。
目的が曖昧だと、CMS選定の軸がぶれやすくなるため注意が必要です。
2.社内スキルと体制の確認
現場の技術力や経験を把握し、不足があれば外部サポートの利用も検討します。社内だけで回せるかどうかの見極めが重要です。
3.総合的なコストの見積もり
初期費用だけでなく、運用・保守・将来的拡張なども含めたトータルでの予算を組みます。見落としがちな運用コストも必ず計上しましょう。
4.セキュリティ対策の検討
CMSはサイバー攻撃の対象になりやすいため、脆弱性の有無や対応策を事前に確認しておきます。
5.製品の比較と選定
複数製品の機能・コスト・サポート体制を比較し、自社の要件に合うものを選びます。相見積もりも有効です。
6.トライアル導入の実施
トライアルを通じて事前に操作性や機能の実用性を確認しておくことで、導入後のミスマッチを防ぎます。
この流れを押さえておくことで、CMS導入後のトラブルを未然に防ぎ、運用の安定につなげられます。
自社に合ったCMSを選ぶためのチェックポイント
以下のチェック表は、自社に最適なCMSを選ぶ際の重要な検討項目をまとめたものです。各項目について自社の状況や要件を明確にし、CMSの選定に役立ててください。
◆自社に最適なCMS選定のチェック表
チェック項目 | 検討事項 |
---|---|
予算感 | 初期費用と運用コストの予算範囲は? |
更新頻度 | 更新が必要な頻度と担当者数は? |
セキュリティ要件 | 特定のセキュリティ基準を満たす必要があるか? |
サイト規模・用途 |
サイトの規模・用途は? (ブログ・ECサイト・コーポレートサイト等) |
社内スキル |
社内にWeb開発経験者がいるか? 必要なスキルセットは? |
拡張性・カスタマイズ性 |
将来的な機能追加やカスタマイズが必要か? |
外部連携 |
CRMやマーケティングツールとの連携が必要か? |
メンテナンス負担 | 自動化機能やサポートが必要か? |
サポート体制 | コミュニティサポートで十分か?専用サポートが必要か? |
多言語対応 |
グローバル展開を視野に入れているか? |
モバイル対応 |
レスポンシブデザインやAMP対応が必要か? 特定のモバイルOSを優先する必要があるか? |
- 要件の明確化
各項目の具体的な要件を書き出し、優先順位付けを行う。 - 複数のCMSを比較
要件に基づき、候補となるCMSを比較検討する。 - 優先順位を付けて判断
重要な項目を優先し、最終的な選定を行う。 - トライアルを実施する
候補のCMSを試用して、操作性・使用感を確認する。
全ての要件を完璧に満たせるCMSはまず見つからないため、優先度の高い項目から検討するのがポイントです。
実装・初期設定・運用開始
CMSの実装・初期設定・運用開始までは、以下のプロセスを計画的に進めていくことが重要です。
1.サーバー・ドメインの選定
クラウド型や自社運用型などの違いを理解し、自社の技術力・予算・拡張性・保守性を考慮してサーバー環境を選びます。サーバー選定後はドメインも取得しておきます。
2.テンプレート導入と初期設定
業種や目的に適したデザインテンプレートを導入し、必要なカスタマイズやプラグインを追加します。SEO設定やURLの構造もこの段階で整備しておくと、運用後の修正を減らせます。
3.社内教育と運用ルールの整備
CMS導入後にスムーズに運用をスタートするため、また不要なトラブルを未然に防ぐため、操作手順・投稿ルール・権限管理を標準化して運用ルールの整備と社内教育を実施します。
4.テストと品質確認
表示の崩れや動作不良を防ぐため、複数のブラウザやデバイスでテストを行います。レイアウト。リンク切れ・画像の最適化など、細かい部分までチェックしておくことが重要です。
5.運用後のモニタリング
運用開始後は更新忘れや不正アクセスを防ぐため、定期的なバックアップやセキュリティチェックを実施します。PDCAを意識し、継続的な改善を心がけましょう。
各工程を丁寧に進めることで、CMS導入の成功率を高めることができます。
CMSのよくある質問(FAQ)
ここではCMSに関して、よく寄せられる基本的な質問とその回答をまとめました。疑問点や不明点をカバーして、次のステップに進みましょう。
1.CMSは無料で使えるの?
A:無料で使えるCMSは多数存在します。
例えば、WordPress.orgやbaserCMSなどのオープンソース型CMSはライセンス費用が不要で、基本的な機能を無料で利用できます。
ただし、テーマやプラグインのなかには優良なものもあり、機能追加や高度なカスタマイズを求める場合は別途費用が発生することもあります。
2.WordPressがあれば十分?
A:WordPressは非常に多機能で汎用性が高く、幅広い用途に対応可能です。
ただし、すべての状況に最適であるとはいえません。
例えば、
- アクセス数が非常に多いサイト
- 企業システムとの複雑な連携が必要なサイト
- 高度なセキュリティ要件があるサイト
など規模・目的によっては他のCMSが適している場合もあります。
3.導入費用はどのくらいかかる?
A:CMSの導入費用は、種類や規模によって異なります。
例えば、
◆オープンソース型
ソフトウェア自体が無料で提供されているため、初期コストを抑えられます。ただし、サーバーやドメインの取得、カスタマイズには別途費用が必要です。
◆クラウド型やパッケージ型
初期費用として10万円~100万円を見込む必要があります。また、月額費用が1万円~10万円程度かかります。
4.外注と自社対応の違いは?
A:CMSの導入において、外注と自社対応では明確な違いがあります。
◆外注では、
専門的なサポートや迅速な実装が期待できます。自社にノウハウが無い場合は有力な選択肢です。
◆自社導入では、
コスト削減と運用の柔軟性が大きな利点となります。都度業者を頼る必要も無くなります。ただし、自社導入の場合は一定レベル以上の知識・技術が必要です。
5.セキュリティは大丈夫?
A:CMSのセキュリティ状況は種類によって異なりますが、適切な対策が必須です。
◆オープンソースCMSでは、
コアシステム・プラグイン・テーマに脆弱性が存在する可能性があり、攻撃対象にもなりやすいため、定期的な更新とセキュリティ対策が必要です。
◆クラウド型CMSでは、
提供企業側でセキュリティ管理が行われるため比較的安全です。専門チームが常時監視・常時対応を行っているサービスも多くあります。
CMSとは、まとめ
CMSを導入することで、専門知識がなくても簡単にWebサイトを運用できるようになります。運用業務の効率化・情報発信の加速・外注頻度の低減といったさまざまなメリットも得られるため、ビジネスの競争力を強化することが可能です。
CMSを導入する際には、まずはCMSについての理解を深め、自社の目的・要件・体制・コストなどを見極めることが重要です。総合的な観点から判断することで、自社に合った製品を選択することができます。
これからCMSを活用していきたい方は、ぜひ当記事も参考にして、ビジネスの成長に繋がる導入・運用を実現して下さい。