なぜ今「国産」なのか？日本製ヘッドレスCMSの強みと選び方を解説！

Webサイト運営で「更新作業に時間がかかりすぎる」「複数のデバイスに対応できない」といった課題を抱えていませんか。

従来のCMSでは解決困難な問題も、ヘッドレスCMSなら解決できます。
特に国産ヘッドレスCMSには、「直感的な日本語UI」「充実したサポート体制」「日本の商習慣に対応した機能」など、海外製品にはない強みが評価され、導入企業が急速に拡大しています。

当記事では、国産ヘッドレスCMSの概要・求められている背景・主要な国産ヘッドレスCMS7製品の比較・失敗しない選び方・実際の企業の導入事例まで、導入成功に必要な情報を詳しく解説いたします。
Webサイト運営に課題を抱えている方は、ぜひ当記事を参考にして最適なヘッドレスCMSを見つけてください。

ヘッドレスCMSとは？

ヘッドレスCMSは、コンテンツの管理機能のみを持つCMSです。従来のCMSとは異なり、表示部分となるフロントエンドを持たず、API経由で自由にコンテンツを配信できます。

フロントエンドを独自技術で開発できるため、柔軟性や拡張性が高く、セキュリティやパフォーマンスにも優れているのが特徴です。Webサイトだけでなく、アプリやIoT機器など複数のデバイスへの展開にも対応できます。

マルチチャネル運用や頻繁な更新、多言語対応が求められる企業にとって、ヘッドレスCMSは最適な選択肢といえるでしょう。

ヘッドレスCMSについての詳細を知りたい方は、以下の記事をご参考ください。

なぜ「国産」ヘッドレスCMSが求められているのか？

国産ヘッドレスCMSへのニーズが高まっている背景には、日本独自の商習慣や法規制への対応、そして質の高い日本語サポートへの強い要求があります。

現代の国内企業や自治体は、業界ごとの細かなルールや法規制への厳格な対応が求められているのが実情です。海外製のCMSでは、日本の複雑な商習慣や規制要件を完全に理解して対応することが困難な場合があります。柔軟性や拡張性が高いヘッドレスCMSであっても、このような事情からパフォーマンスを十分に発揮することができません。

国産CMSであれば、国内事情に合わせた機能や運用フローを最初から備えています。トラブル発生時の迅速な日本語サポートや、日本のビジネス慣行に沿った操作性も提供されるため、企業は安心して導入することが可能です。さらにヘッドレスCMSであれば、ニーズに合わせて柔軟なカスタマイズやコンテンツの配信を行うことができます。

日本特有の事情への対応力の高さこそが、国産ヘッドレスCMSが重要視されている最大の理由といえるでしょう。

海外製ヘッドレスCMSの課題

海外製ヘッドレスCMSには素晴らしい製品が多くありますが、日本企業が導入する場合には、言語や文化の違いが、運用面で大きな障壁となるケースが少なくありません。
具体的にどのような課題があるのか、以下に詳しく見ていきましょう。

1．英語UI・ドキュメントの壁

管理画面やマニュアルが英語のみで提供されることが多く、非エンジニアや英語に不慣れな担当者にとって操作が困難になります。日本語ローカライズがない場合、導入・運用のハードルが高くなるでしょう。

2．日本語サポートの不足

トラブル発生時の日本語サポートも限定的で、迅速な問題解決が困難な場合があります。仕様確認や運用相談をスムーズに行えないため、企業は懸念を感じることが多いです。

3．導入・運用の複雑さ

日本の商習慣や業務フローに最適化されていないことが多く、要件を満たせない場合や設定・管理が煩雑になる場合が多くあります。自己ホスティング型では追加の運用負荷も発生します。

4．国内事例の少なさ

国内での導入事例やコミュニティが少ないため、情報収集やノウハウの共有が困難です。企業は手探りでの運用やトラブルシュートを余儀なくされることになります。

機能・性能・シェア数から安易に海外製ヘッドレスCMSを導入すると、後から思わぬ困難に直面するケースもあるため注意しましょう。

国産ヘッドレスCMSのメリット

国産ヘッドレスCMSは、海外製ツールとは異なる独自の強みがあります。主なメリットとして以下の点が挙げられます。

1．充実した日本語サポート

ドキュメントから管理画面まで全て日本語で提供されるため、トラブル時や導入時のコミュニケーションが円滑に行えます。特に非IT部門や中小企業にとって、言語の壁がないことは大きな安心材料となります。

2．豊富な国内での導入実績

多くの国内企業での導入実績により、信頼性と安定稼働が実証されています。同じ業界や規模の企業での成功事例を参考にできるため、導入時の不安を軽減できます。

3．直感的な操作性

日本語UIやシンプルなAPI設計など、初心者でも扱いやすい工夫が随所に施されており、直感的な操作が可能です。

4．柔軟性に優れている

小規模から中規模サイトまで幅広く対応できる柔軟性を備えており、企業の成長に合わせてスケールアップできます。

国産ヘッドレスCMSは、日本市場に最適化された安心感と使いやすさで高い評価を獲得しており、今後ますます需要が高まると予想されます。

中堅企業・非エンジニア担当者にも扱いやすい理由

国産ヘッドレスCMSは、以下の理由から中堅企業や非エンジニア担当者から支持されています。

1．日本企業向けの豊富な機能

日本の商習慣や業務フローに合わせた機能が充実しており、日本語Webフォントや他の日本製ITツールとの連携など、現場の実務に即した運用ができます。

2．柔軟な段階的な導入・切替が可能

ヘッドレスであればAPIを活用して段階的な導入や切り替えができるため、負担なく運用を始められます。部分的なCMS化が可能であるため全体リニューアルの必要がなく、既存サイトと並行した運用も可能です。

3．システム管理の負担軽減

クラウド型CMSが主流であるため、サーバー管理や高度なシステム設定が不要です。ITインフラの専門知識がなくても運用できる点が、中堅企業や非エンジニア担当者にとって大きなメリットとなっています。

技術的なハードルを下げながら実務に適した機能を提供していることから、幅広い企業での導入が進んでいます。

国産ヘッドレスCMS一覧

国産ヘッドレスCMS市場には、それぞれ異なる特色を持つ複数の製品が存在しており、企業の規模や用途に応じて選択することができます。

以下の表は、現在主流となっている国産ヘッドレスCMSを一覧でまとめたものです。

製品名	種類	主な特徴・強み
microCMS	クラウド型	・国内最大手 ・直感的UI・API設計がシンプル ・幅広い用途・実績あり
Newt	クラウド型	・非エンジニアや複数人チームでも扱いやすい ※2026年11月24日（火）でサービス終了予定なので注意
Kuroco	クラウド型	・エンタープライズ向け ・高機能・高拡張性 ・大規模運用に対応
HeartCore	セルフホスト型 （商用パッケージ型）	・大規模・多機能 ・日本企業の大規模案件で導入実績 ・ヘッドレス配信機能も標準搭載
a-blog cms headless	セルフホスト型 （商用パッケージ型）	・従来型CMSのヘッドレス拡張 ・カスタマイズ性高い
baserCMS	セルフホスト型 （オープンソース型）	・日本発OSS ・REST APIでヘッドレス運用可 ・無料でカスタマイズ容易
BERYL	クラウド型	・Webメディア運営特化 ・直感的UI・編集権限管理・記事パーツ充実 ・導入・運用サポートも強み

それぞれの製品の概要・特徴について、以下に詳しく見ていきましょう。

microCMS

microCMSは、日本国内で開発・提供されているAPIベースのヘッドレスCMSです。主な特徴は以下の通りです。

microCMSは技術的な専門知識がなくても安心して運用できる国産CMSとして、多くの企業から選ばれています。

Newt

Newtは「次世代のWordPress」を目指し、エンジニア不足の現場でも導入しやすい国産ヘッドレスCMSとして注目されていました。しかし、2026年11月24日（火）をもってサービス提供を終了することが発表されています。

現在利用中の方や導入を検討中の方は、以下の対応が重要です。

サービス終了までの時間を有効活用し、計画的に移行作業を進めることが大切です。

Kuroco

Kuroco（クロコ）は、株式会社ディバータが開発・提供している国産のエンタープライズ向けヘッドレスCMSです。主な特徴は以下の通りです。

従来型CMSで4,000社以上の導入実績を持つ同社のノウハウを活かして開発されており、日本市場の要件や商習慣にしっかり対応しています。

HeartCore CMS

HeartCore（ハートコア）は、ハートコア株式会社が提供する国産のオールインワン型コンテンツ管理プラットフォームです。HeartCoreが注目される理由は以下の通りです。

HeartCore CMSは、従来型CMSとヘッドレスCMSの両方に対応できる柔軟性が最大の魅力といえます。

a-blog cms headless

a-blog cms headlessは、日本発のCMS「a-blog cms」をヘッドレスCMSとして活用できる拡張機能です。主な特徴は以下の通りです。

a-blog cms headlessは、長年の実績を持つ国産CMSの信頼性とヘッドレスの柔軟性を両立しているのが魅力です。

baserCMS

baserCMSは、CakePHPをベースに開発された日本発のオープンソースCMSです。主な特徴は以下の通りです。

baserCMSは、バージョン5から本格的にヘッドレスCMS機能を搭載しており、従来型とヘッドレスの両方に対応できる柔軟性を実現しています。

BERYL

BERYL（ベリル）は、株式会社カスタムライフが自社開発したWebメディア運営に特化した国産のヘッドレスCMSです。主な特徴は以下の通りです。

BERYLは、メディア運営の現場で必要となる機能を網羅しており、効率的なコンテンツ制作を実現できます。

導入前に確認すべきポイントと失敗しない選び方

ヘッドレスCMSの導入を成功させるためには、技術的な要件だけでなく、運用体制や将来的な拡張性など、多角的な視点から検討することが重要です。以下に確認すべきポイントを解説していますので、失敗しない選定を行うために、事前に把握しておきましょう。

エンジニア・マーケター両者の意見をまとめて判断

ヘッドレスCMSは技術的な自由度が高い一方で、導入・運用にはエンジニアリソースが不可欠となります。しかし、マーケティング担当者が求める操作性や利便性と、開発担当者が重視する技術面での要件は必ずしも一致しません。

成功の鍵は、両者の業務要件や理想の運用イメージを事前にすり合わせることです。マーケティング担当者の「コンテンツを効率的に更新したい」というニーズと、エンジニアの「保守しやすいシステムにしたい」という要望を両立できるCMSを選定することで、導入後のトラブルを避けられます。

エンジニアとマーケター両者の合意形成が、失敗しないヘッドレスCMS選定の前提条件といえるでしょう。

APIの柔軟性・スケーラビリティを確認

ヘッドレスCMS選定において、APIの柔軟性とスケーラビリティの確認は将来的な事業拡大を見据えた重要な判断ポイントです。確認すべき要素は以下の通りです。

REST APIとGraphQL APIへの対応可否・カスタマイズ性

APIは建物の設計図のようなもので、柔軟性が高いほど将来的なシステム連携や機能拡張が容易になります。事前に詳細な検証を行っておく必要があります。

ドキュメントや開発者向けリファレンスの充実度

実装・運用のスムーズさを左右する重要な要素であるため、担当者を交えて必ず確認しておきましょう。

スケーラビリティの可否

複数のWebサイト・アプリ・デジタルサイネージ・IoTデバイスなど、将来的なマルチチャネル展開を見据えたスケーラビリティの確認も必須です。

無料トライアルを実施して確認

ヘッドレスCMS選定は、カタログやデモだけでは分からない使い勝手や実際の運用イメージを把握するため、無料トライアルを実施して機能・性能を実際に確認してから導入するのがおすすめです。トライアル期間中に確認すべき主なポイントは以下の通りです。

トライアル期間中に確認すべき主なポイント

項目	内容
管理画面の操作性 日本語対応	日常的に使う管理画面が使いやすく、日本語に対応しているかを確認しましょう。
APIレスポンス速度 仕様の分かりやすさ	システム連携に重要なAPIの性能と仕様の理解しやすさを検証します。
機能の充実度	下書き保存・承認ワークフローなど、運用に必要な機能が揃っているかを確認します。
ドキュメント、サンプルコードの充実度	開発・運用時に参照する資料の質と量を評価しましょう。
サポート体制	問い合わせ対応の速さ・質など、困ったときのサポート体制を確認します。
技術面での評価	実際の開発作業での使い勝手・他システムとの連携性や拡張性・セキュリティや権限管理の仕組みを検証します。

実際に製品に触れることで、導入後の運用が円滑に進むかを見極められるため、ミスマッチを低減することができます。

エンジニアとの連携体制がある企業には海外製も視野に

社内にエンジニアが十分にいる場合、または外部パートナーと密に連携できる体制がある場合は、海外製ヘッドレスCMSも有力な選択肢となります。技術的なサポート体制が整っていれば、言語の壁や運用面での課題を克服しながら、先進的な機能を活用できるためです。

海外製ヘッドレスCMSの最大の魅力は、「APIや機能の先進性」「拡張性に優れている」点にあります。グローバル市場で競争にさらされているため、最新技術の導入や機能アップデートが迅速で、技術的な自由度も高く設計されています。

一方で、英語UIやサポート対応、国内導入事例の少なさなどの課題も存在します。英語での資料読解やトラブルシューティングが必要になるため、エンジニアの技術力と英語力が求められるでしょう。

海外製ヘッドレスCMSを導入するのであれば、体制と目的に応じて慎重に精査することが、成功への鍵となります。

導入事例｜国産ヘッドレスCMSを活用している企業

これから国産ヘッドレスCMSの導入を検討している方は、課題解決や業務効率化を実現している企業の事例を通じて、具体的な導入効果や活用方法を確認してみましょう。以下の事例は、自社での導入検討時の参考とするのにおすすめです。

株式会社トリドールホールディングス×microCMS

「丸亀製麺」などを展開するトリドールホールディングスは、30カ国・1,700店舗超のグローバル外食企業として、Webサイト運用の効率化が急務となっていました。同社がmicroCMSを導入した結果、大幅な業務改善とサイトパフォーマンス向上を実現しています。

導入前は9割以上のWebページがCMS未対応で、更新に多くの工数・コストがかかっていました。従来のCMSは自由度が低く、増加するアクセスへの対応も不安を抱えていたため、静的ホスティングに適した柔軟性とSSO対応を持つmicroCMSを採用。各ブランドサイトのスピーディな更新体制構築を目指しました。

導入効果は顕著に現れています。部署ごとの権限管理により安全かつ効率的なWeb運用が可能となり、予約公開機能で季節商品の入れ替えもスムーズになりました。リニューアル初月でUU数が20％増加し、システム負荷も問題なく処理できています。

日本航空株式会社×HeartCore

日本航空株式会社は、海外向けグローバルサイトの運用において、多言語・多拠点でのコンテンツ管理が複雑化し、従来のCMSでは運用効率や表示速度に限界が生じるなど、深刻な課題を抱えていました。

この課題を解決するため、同社はAPIベースで柔軟にデータ配信できるヘッドレスCMS機能を持つHeartCoreを導入しました。

導入の結果、フロントエンドとCMSを疎結合にすることで、デザインや機能の変更・拡張が容易になり、コンテンツをパーツ単位で一元管理することが可能に。API経由で複数チャネルへの同時配信や外部システムとの連携も実現しました。

サイト運営業務全体の効率化・SEO対策やLPO施策の強化につながっており、各国・各拠点での運用効率を大幅に向上させることに成功しています。

青山商事株式会社×BERYL

青山商事株式会社は、従来型CMSで運用していたWebメディアにおいて、ページ表示速度の遅さ、記事作成・管理にかかる膨大な工数、そして編集時の先祖返りが大きな問題となっていました。

これらの課題解決のため、同社はWebメディアの効率的な運用管理に最適化されたヘッドレスCMS「BERYL」を導入しました。

導入の結果、サイト全体と記事ページの表示速度が大幅に向上。運用面においても、モバイルビュー機能や自動WebP画像変換機能により、画像編集の工数を大幅に削減。リビジョン機能や差分アラート機能の実装で、編集ミスや先祖返りもほぼ解消されました。

当初の課題をまとめて解決することに成功しており、記事作成・編集の時間短縮と運用最適化により、より多くの時間をコンテンツの品質向上に割ける環境を実現しています。

まとめ｜最終的に選ぶ際の判断軸

国産ヘッドレスCMSを導入すれば、従来のCMSでは困難だった「更新作業の効率化」「マルチデバイス対応」「セキュリティ強化」といったWebサイト運営上の課題が、ヘッドレス構造により根本から解決できます。特に国産製品なら、日本語UIや充実したサポート体制により、非エンジニアでも安心して運用可能です。実際に大手企業も導入を進めており、大幅な業務効率化を実現しています。

ただし、製品選びで失敗すると逆に運用負荷が増加する危険性があるため、各製品の特色を把握し、自社の要件との適合性を慎重に見極めることが重要です。

これからヘッドレスCMSの導入を検討している方は、まずは自社に最適なヘッドレスCMSの要件を定義し、無料トライアルから始めてみましょう。