PageSpeed InsightsとChrome DevToolsのLighthouseは、どちらもGoogleが提供するパフォーマンス測定ツールです。しかし、同じページを測定してもスコアが異なることがあります。
結論から言うと、通常はPageSpeed Insightsを基準にすれば問題ありません。
開発中のテストやデバッグにはLighthouseが適しています。
この記事では、両ツールの違い、スコアが異なる理由、実務での使い分け方を解説します。
目次
PageSpeed InsightsとLighthouseとは?
PageSpeed Insights(PSI)とは

PageSpeed Insightsは、Googleが提供するWebベースの速度測定ツールです。
・URLを入力するだけで測定できる
・モバイル・デスクトップ両方の結果を表示
・実ユーザーのデータ(フィールドデータ)も確認可能
・誰でも無料で使える
Lighthouseとは

Lighthouseは、Googleが開発したオープンソースの監査ツールです。
・Chrome DevTools、拡張機能、コマンドラインから実行可能
・5つのカテゴリを監査(Performance、Accessibility、Best Practices、SEO、PWA)
・開発者向けの詳細な診断が可能
PSIの内部エンジンはLighthouse
実は、2018年からPageSpeed Insightsの分析エンジンにはLighthouseが使われています。
つまり、パフォーマンススコアの計算ロジック自体は同じです。
それでもスコアが異なるのは、「測定環境」と「データの種類」が違うからです。
PSIには2種類のデータがあります。「実際のユーザーの環境で評価する」セクションに表示されるフィールドデータと、「パフォーマンスの問題を診断する」セクションに表示されるラボデータです。


フィールドデータは過去28日間のChromeユーザーの実測値、ラボデータはGoogleサーバー上でLighthouseを実行した結果です。
一方、Chrome DevToolsのLighthouseはあなたのPC環境だけで測定します。この違いがスコアの差を生みます。
PageSpeed InsightsとLighthouseの違い【比較表】
PageSpeed InsightsとLighthouseの違いを一覧表で整理しました。
|
項目 |
PageSpeed Insights | Lighthouse(DevTools) |
|---|---|---|
| 提供形態 | Webツール | Chrome拡張機能 / DevTools |
| 実行環境 | Googleのサーバー | あなたのPC |
|
フィールドデータ |
あり(過去28日間) | なし |
|
ラボデータ
|
あり | あり |
| 測定対象 | 公開済みURLのみ | ローカル環境も可 |
| ネットワーク条件 | 固定(シミュレート) | PC環境に依存 |
| 認証が必要なページ | 測定不可 | 測定可 |
| 結果の安定性 | 比較的安定 | 環境により変動 |
| 主な用途 | 本番サイトの評価・報告 | 開発中のデバッグ |
最大の違いは「フィールドデータの有無」です。
PSIだけが、実際のユーザーがどのような体験をしているかを示すフィールドデータを提供します。これはCrUX(Chrome User Experience Report)と呼ばれる、Chromeブラウザから収集された実測データです。
Lighthouseはラボデータのみを提供します。制御された環境での測定なので問題の特定には便利ですが、実ユーザーの体験を反映しているとは限りません。
スコアが異なる5つの理由
PSIとLighthouseでスコアが異なる主な原因を解説します。
理由①:実行環境の違い
PSIのラボデータはGoogleのサーバー上で測定されます。一方、Chrome DevToolsのLighthouseはあなたのPCで実行されます。
高スペックPCで測定すればスコアは高くなり、低スペックPCなら低くなります。これが最も大きなスコア差の原因です。
理由②:フィールドデータの有無
PSIには「実際のユーザーの環境で評価する」セクションがあります。これは過去28日間のChromeユーザーの実測値(CrUXデータ)です。
Lighthouseにはこのフィールドデータがありません。そのため、PSIでは「フィールドデータは合格だが、ラボデータは低スコア」ということがよく起こります。
理由③:スロットリング方式の違い
スロットリングとは、意図的に通信速度を制限して測定する技術です。
PSIは「シミュレート・スロットリング」を使用します。ページの読み込み後に数学的に速度を調整する方式です。Lighthouseもデフォルトは同じですが、DevToolsの設定を変えると結果が変わることがあります。
理由④:キャッシュとバックグラウンド処理
Lighthouseをローカルで実行すると、ブラウザキャッシュが影響することがあります。
2回目以降の測定ではキャッシュ済みリソースが使われ、スコアが高くなる場合があります。PSIは毎回キャッシュなしの状態で測定するため、条件が一定です。
また、ローカル環境では他のアプリの影響も受けます。バックグラウンドで重い処理が走っていると、スコアが下がることがあります。
理由⑤:Lighthouseバージョンの違い
Lighthouseは定期的にアップデートされます。
PSIは常に最新版を使用しますが、Chrome DevToolsのLighthouseはブラウザのバージョンに依存します。Chromeを更新していない場合、古いバージョンのLighthouseで測定している可能性があります。
スコアの計算方法はバージョンごとに変更されることがあるため、同じページでもスコアが異なる場合があります。
実務での使い分け方【判断フローチャート付き】
状況に応じてどちらを使うべきかを整理します。
PageSpeed Insightsを使うべきケース
クライアントや上司への報告
PSIは測定条件が一定なので、結果が安定しています。「先月は60点、今月は75点」のように改善を定量的に示すのに適しています。
Core Web Vitalsの確認
フィールドデータは実際のユーザー体験を反映しています。Googleが検索ランキングの評価に使うのもこのデータです。
競合サイトとの比較
他社サイトもPSIで測定できます。同じ条件で比較できるので、客観的な評価が可能です。
Lighthouseを使うべきケース
開発中のデバッグ
Lighthouseはローカル環境やステージング環境でも測定できます。公開前のサイトでパフォーマンスを確認したいときに便利です。
認証が必要なページの測定
PSIはログインが必要なページを測定できません。管理画面や会員専用ページは、Lighthouseで測定しましょう。
詳細な診断情報が必要なとき
DevToolsのLighthouseでは、パフォーマンスタブと併用することで、どの処理に時間がかかっているか詳細に分析できます。
【図解】状況別・判断フローチャート

結論は、両方を併用するのがベストです。
日常的なモニタリングはPSIで行い、問題が見つかったらLighthouseで詳細に調査する。これが最も効率的な使い分けです。
実務での改善フロー
実際にパフォーマンスを改善する場合は、以下の流れで進めます。
- PSIでCore Web Vitalsを確認し、問題のある指標を把握
- Lighthouseで詳細診断を実行し、スコアを下げている要因を特定
- 診断結果をもとにフロントエンドを修正
- 再度PSIで改善を確認
PSIは「何が問題か」を見つけるツール、Lighthouseは「なぜ問題か」を調べるツールと覚えておきましょう。
SEO対策で優先すべきはどちらか?
SEOの観点から、どちらのツールを重視すべきかを解説します。
Googleが見ているのは「フィールドデータ」
GoogleはCore Web Vitalsを検索ランキングの要素の一つとしています。
その評価に使われるのは、PSIのラボデータではなくフィールドデータです。
フィールドデータは、実際にサイトを訪れたChromeユーザーのデータを集計したものです。つまり、実際のユーザー体験を反映しています。
Google Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」レポートも、このフィールドデータに基づいています。
結論:SEO目的ならPSIのフィールドデータを最優先
SEO対策としてパフォーマンスを改善するなら、PSIのフィールドデータで「合格」を目指しましょう。
具体的には、以下の3指標が「良好」(緑)になることが目標です。
- LCP(Largest Contentful Paint):2.5秒以内
- INP(Interaction to Next Paint):200ミリ秒以内
- CLS(Cumulative Layout Shift):0.1以下
ラボデータのパフォーマンススコア(90点以上など)は、直接的にはSEOに影響しません。
Core Web VitalsはSEOの評価要素の一つに過ぎません。コンテンツの質や被リンクなど、他の要素の方が影響力が大きいと言われています。
フィールドデータが「合格」であれば、ラボデータのスコアが50点でも問題ありません。スコアを100点にすることよりも、コンテンツの改善に時間を使う方が効果的です。
よくある質問(FAQ)
Q. PSIとLighthouse、どちらのスコアが正しい?
A. どちらも正しいです。ただし測定条件が異なるため、用途に応じて使い分けましょう。報告やSEO目的ならPSI、開発中のテストならLighthouseが適しています。
Q. Lighthouseのスコアが毎回変わるのはなぜ?
A. ローカル環境の影響を受けるためです。PCの負荷状況、ネットワーク状態、ブラウザキャッシュなどが影響します。安定した測定が必要ならPSIを使いましょう。
Q. PSIでフィールドデータが表示されないのはなぜ?
A. アクセス数が少ないサイトでは、フィールドデータが収集できず表示されません。この場合はラボデータを参考にしましょう。
Q. モバイルのスコアが極端に低いのはなぜ?
A. PSIはモバイルの測定で、中位のスマートフォン(Moto G4相当)と低速な4G回線をシミュレートしています。これは世界中のユーザーの平均的な環境を想定しており、日本の高速な環境より厳しい条件になっています。
(参考:Lighthouse Throttling Documentation)
Q. スコアは何点以上を目指すべき?
A. SEO目的なら、スコアよりもフィールドデータのCore Web Vitalsが「合格」になることが重要です。ラボデータのスコアは目安として90点以上は「良好」、ただし必須ではありません。
まとめ
PageSpeed InsightsとLighthouseの違いをまとめます。
報告・SEO対策 → PSIのフィールドデータ
開発中・詳細調査 → Lighthouse
・PSIのフィールドデータ(Core Web Vitals)
・ラボデータのスコアは直接的にSEOに影響しない
最終的には、両方のツールを目的に応じて併用するのがベストです。
日常のモニタリングはPSIで行い、問題が見つかったらLighthouseで詳しく調べる。この流れを覚えておきましょう。
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